•松【神の降臨を賜るデザイン】
厳寒烈風に耐える常緑の生命力を持つ不老長寿の神聖な木として、古来より中国で尊ばれてきた松。
日本でも、大切な神木と仰がれてきました。正月の門松は、神が天下り一年の幸いを授けるといわれています。
また、二本が根元で合体する播州・高砂の相生の松は、夫婦の深い契りと縁結びを表し、相老いとして長寿の吉祥をも表しています。
•旭(日の出)【福徳招来のデザイン】
太陽は、世界中で最初に認識された神秘な存在です。
日没後の闇は恐怖の世界であり、人々は光と熱を降り与える太陽に大いなる神秘性と霊力を感じ、感謝と信仰を崇めたといいます。
日本では、天照大神が太陽神とされています。
旭は、太陽が現れる祝福と恵みの象徴であり、新世界を開く人生の門出の象徴でもあるデザインです。
•宝船【招福吉夢のデザイン】
江戸時代より正月二日の初夢には、宝船の絵を枕に敷き吉夢を願う風習があります。
宝船には、宝珠、米俵、経巻、珊瑚、金銀財宝などが積まれ、帆には七宝繋、菱繋などの吉祥模様や「宝」、「獏(悪い夢を食べる動物)」の、文字が描かれ、七福神も乗り込んでいます。
財宝縁起を満載した宝の入り船として、招福祈願の文様とされたデザインです。
•鶴【富貴・長寿・愛情のデザイン】
「鶴は千年、亀は万年」の云い伝えの通り、鶴は、古くから長寿の鳥、吉祥の鳥とされ、常世の国(富貴・長寿・愛情をもたらす祖霊の集う国)から霊魂を運ぶ白い瑞鳥と信じられてきました。
中国でも、その端正な姿から、神仙の空中の使者として珍重されてきました。また、日本では、女性の愛情を語る「鶴の恩返し」などの民話もあります。
•高砂【延命長寿・夫婦和合のデザイン】
播州(兵庫県)加古川河口の高砂と住吉の松は、相生の松といわれており、婚礼式の祝謡(「高砂や〜」)で広く知られています。意匠文様となった世阿弥創作の能「高砂」も有名です。
旅の途中の神主が、二人の老神に出会い、相生の松の伝説を聞いて、天下泰平を祝福する舞を観るという物語は、夫婦の長命、和合を象徴したものです。
•猩々(しょうじょう)【富貴・長寿・孝行のデザイン】
「猩々に酒の壺」とは、お誂えむきの意。猩々とは、中国の創造上の霊獣で、顔は人間、姿は猿に似て、人語を解し、酒を飲みます。
謡曲「猩々」では、霊夢の通りに酒を売り富貴になった親孝行な酒売りが、酒を携えて猩々を訪ねて行くと、汲めども尽きない酒壺を授かり祝福を受けます。孝行の徳、開運富貴、不老長寿のデザインです。
日の出鶴亀
扇宝船
舞猩々
面箱